研削加工では有りませんが、今回は超精密切削加工のことについてお話します。超精密切削加工は天然又は人造の単結晶ダイヤモンドバイトなどの工具を用いて、アルミニウム合金や銅合金、ニッケルなどの非鉄軟質金属を鏡面切削するのに用いられています。超精密切削加工の必須要件としては超精密な加工機が必要です。通常平面や、円筒面の加工には超精密旋盤が使用され、立体形状の加工には超精密マシニングセンターが用いられます。
これらの加工機に共通していることは、極めて運動精度が高い機械構成要素から出来ていることです。
右図1に、超精密旋盤の一例を示しますが、振動を防止するため、空気バネで支持された、御影石製のベット上に摺動テーブルと回転スピンドルを搭載しています。主軸は、図2に示しますように、軸と軸受け間に圧縮空気を供給して軸を浮かせた静圧軸受が用いられます。回転精度0.1μm以下を得ることができます。
同様にテーブルのスライド部にも高圧の油又は空気を供給してテーブルを浮上させた支持機構が用いられ、真直精度0.1μm以下のスライドテーブルを実現しています。送り機構はナットと送りねじのかみ合い部へ高圧の流体を供給して直接接触することが内容にした静圧ねじを採用し、ナットをバネで支持して、ねじのふれ回りによる揺動を押さえております。
切り込み機構として送りねじによるほか、微動機構として圧電素子によりダイヤモンドバイトを1ナノメートルステップでの切り込みを可能としているものもあります。
超精密加工を行うには、加工機と同様にダイヤモンド工具も超精密なものが必要となります。UTEでは、先端半径の輪郭精度0.05μmのRバイトを始め各種形状のダイヤモンド工具を提供しております(図3、4参照)。
加工精度は、表面粗さRyが10~30ナノメートル程度、形状精度100ナノメートル以内が得られます。
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