ステンレス鋼と一くくりにしていますが、大まかに５種類に分けられ、前回はフェライト系ステンレス鋼について説明しました。ここでは、マルテンサイト系ステンレス鋼の特徴について、解説します。

マルテンサイト系ステンレス鋼の特徴と加工条件
マルテンサイト系ステンレス鋼は、①硬くて、強くて、さびにくい材料を得る目的で開発されたステンレス鋼で、②磁石に引付きます。
大気中ではさびにくいが、クロム[Ｃｒ]は炭素[Ｃ]とクロム炭化物を作りやすいため、耐食性は他の系統のステンレス鋼よりも劣ります（錆やすい）。
成分は鉄－クロム系が主体ですが、ニッケルを少量含むものもあります。ＪＩＳではクロム量１１．５～１８％、炭素量は最大１．１％のものが規定されています。
ＳＵＳ４１０（Ｃｒ：１３％、Ｃ：０．１５％以下）が代表的鋼種です。高温のオーステナイト相から急冷することにより、常温でマルテンサイトと呼ばれる硬い組織になり、硬さが増します。機械的性質は炭素含有量と熱処理条件により決まります。ＳＵＳ４４０系ステンレス鋼が最も硬く、ＳＵＳ４４０Ｃ（１７％Ｃｒ，１％Ｃ）がＪＩＳ鋼種の中では最高の硬さを示します。
熱伝導率、線膨張係数、伸び、引張り強さなどの難削性は、一般の焼入れ鋼と同等レベルですので、研削条件としても、一般の焼入れ鋼と同様の条件を設定すれば良いでしょう。
以下にＳＴＲＡＸによる研削加工条件例を示します。

加工例：ホイール仕様
ＫＣＢ２００Ｓ・ＢＶＫＵ－ＳＴ
２００Ｄ×１４Ｔ×５０．８Ｈ×１０Ｕ×３Ｘ

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