熱膨張が大きいこと自体は、研削の抵抗の増大には影響を与えませんが、加工精度に影響を及ぼします。特に薄物材の加工における平面度に大きく影響します。
表1に各種材料の熱膨張率を示しますが、熱膨張率の大きい材料としては、オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304等)、アルミ合金、銅合金などがあります。
熱膨張率の大きな材料を高精度加工するためには、研削熱を発生させないようにする必要があります。そのためには、
①研削抵抗の小さい切れ味の良い砥石を使用する。例えば鉄系材料に対してはCBNホイール、非鉄金属に対してはダイヤモンドホイールが効果的です。
②研削条件としては、研削速度(砥石回転数)を遅くする。
③冷却効果を高めるため、多量の研削液を研削点に供給することにより、研削熱の発生を防ぐ効果があります。
表1.各種材料の熱膨張係数(×10-6)
ステンレス鋼 | オーステナイト系(SUS304) | 17.3 | 炭素鋼(S45C) | 11 |
フェライト系(SUS430) | 10.4 | アルミ合金(2017) | 23 | |
マルテンサイト系(SUS420J2) | 10.3 | 銅合金 | 16.8 | |
耐熱鋼 | 11 | チタン合金(6AL4V) | 8.8 | |
高張力鋼 | 11 |
※上記データは目安であり、実際の使用に当たってはメーカの数値をご確認下さい。
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