【No.0510-17】オーステナイト系ステンレス鋼の特徴と加工条件

オーステナイト系ステンレス鋼は最も種類の多いステンレス鋼でクロム(Cr)16~26%、ニッケル(Ni)4~26%を含みます。結晶構造は面心立方構造で、非磁性です(磁石に付きません)。また熱処理によっても硬化しませんが、冷間加工すると加工硬化して、硬さ・強度が著しく向上しますが、マルテンサイト(体心立方)が出現して、磁性を帯びますので、注意が必要です。
SUS304(Cr18%,Ni8%,C<0.08%)は代表的なオーステナイト系ステンレス鋼で使用目的に応じて、モリブデン(SUS316,317)、銅(SUS329)、チタン(SUS321)その他の元素が添加されます。一般に耐食性、冷間加工性に優れ、極低温まで靭性を有し、高温強度はフェライト系ステンレス鋼よりも高いなど、きわめて優れた性質を有するので、広い範囲に使用され、使用量も最も多いステンレス鋼です。
オーステナイト系ステンレス鋼は加工硬化しやすく、熱伝導率が低く研削熱が逃げにくいので温度上昇が大きく、さらに線膨張係数が大きいので局所的なひずみを生じやすく、また伸びが大きいので、目詰まりし易いなどの多くの難削性を持っていて、ステンレス鋼の中では最も研削しづらい材料です。
従って、オーステナイト系ステンレス鋼の研削では、以下の点に留意することにより、生産性よく加工が行えます。
①研削抵抗の小さい切れ味の良い砥石を使用し、ドレッシングにより鋭利な切れ刃を生成する。
②目詰まりしにくいポーラスな砥石を使用する。
③潤滑性・冷却性の良い研削液を使用する。

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