【No.0705-36】超精密加工に関するお話4

今回はラッピング・ポリシングについてお話します。
工作物から不要部を取り除いて、要求する精度の製品を加工する除去加工法では、要求精度より小さい量の取り代としなければなりません。例えば0.1μmないし0.001μmオーダの表面粗さを達成しようとする場合、それ以下の切屑厚さとする必要があります。

ラッピング、ポリシングは研削加工が固定砥粒による加工に対して、遊離砥粒を用いて被加工物を磨いて、極めて微小な量を除去できる加工法で、極めて平滑な面粗さを得ることができる加工方法です。

図1.湿式ラップの原理

図1.湿式ラップの原理

ラッピングの特徴
ラッピングでは、1μm~数10μmの大きさの砥粒と鋳鉄などの硬質材料のラップ板が用いられるので、脆性材料に適用した場合、通常、微小の凹凸をもつ光沢のない面に仕上がります。

図2.乾式ラップの原理

図2.乾式ラップの原理

湿式ラップの研磨原理は、図1に示しますように、工作物とラップ盤の間に砥粒とラップ液を介在させ、適度に圧力を加えながら工作物とラップ盤を相対的に揺動させると、砥粒が転動しながら、工作物を除去する方法です。

乾式ラップは図2に示しますようにラップ液を使用せず、砥粒をラップ盤に押し込んで固定した状態で工作物を研磨する方法です。

ラッピングの概略の加工条件を下表に示します。

図3.ポリシングの原理

図3.ポリシングの原理

表1.ラッピングの加工条件
仕上げ状態 粗仕上 中仕上 精密仕上
砥粒粒度 # 600 1000 3000
押付圧(kPa) 200 150 50
速度(m/min) 100 60 40

ポリッシングの特徴
ポリッシングは、ラッピングと同様の研磨操作を行いますが、図3に示しますように、合成樹脂、人工皮革、繊維などの軟質材料のポリッシャを用いて、粒径1μm以下の微細砥粒を保持して鏡面を仕上げる加工法で、ラッピングより平滑な面を得ることができます。

砥粒はポリッシャにより柔らかく保持されるので、砥粒の工作物への押しつけ力が小さくなり、極めて小さな切込みが行われます。

面粗さとしては10nm~1nm程度の鏡面を得ることができます。

また、加工力が極めて小さいので、工作物の表面の加工変質層を小さくすることが出来ます。

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