延性(ductility)とは、材料が応力により塑性的に伸びうる性質をいいます。延性を表す指標として、伸び、絞りがあり、延性が大きい材料とは伸び、絞りの大きい材料のことを言います。
材料を引張り試験したとき、引張り力の増加とともに材料は伸びて、最終的に破断しますが、伸びは、試験前の試験片の評点間距離L0が、破断後の評点間の距離Lまで伸びたとき、伸びた量の破断前の評点間距離に対する百分率を言います。すなわち、伸びφは、
で表されます。
同様に絞りは、引張り試験後の材料の最小断面積fの試験前の原断面f0に対する百分率を言います。一般に伸びが大きいと絞りも大きくなります。
延性が大きい材料とは、研削するときに材料が伸びてなかなか母材から引き離すことが出来ないことを意味し、切り屑がつながって気孔を埋めて目詰まりを起こしやすく研削しづらいということになります。従って、伸びの大きな材料の研削には、気孔の大きな砥石すなわち、UHP(Ultra High Polus)砥石などを用いる必要があります。
表1に各種材料の伸びを示しますが、延性の大きい材料としては、オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304等)、純銅、純アルミ、純鉄などがあります。
表1.各種金属の伸び
ステンレス鋼 | オーステナイト系(SUS304) | 40%以上 | 炭素鋼 | 15~25 % |
フェライト系(SUS430) | 22%以上 | 純鉄 | 45% | |
マルテンサイト系(SUS420J2) | 12%以上 | 純ニッケル | 25%以上 | |
耐熱鋼 | 15~40% | 純銅 | 45% | |
高張力鋼 | 12~20% | 純アルミ | 45% |
※上記データま目安であり、実際の使用に当たってはメーカの数値をご確認下さい。
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