イゲタロイ超硬素材 塑性加工工具用イゲタロイ材質特性

超硬合金丸棒素材

超硬合金板材素材(黒皮)

塑性加工工具用イゲタロイ材質特性

塑性加工工具用イゲタロイ材質特性

製品例と適用材種

超硬合金イゲタロイ ニュー
セラミックス
合成
ダイヤモンド
セラミック
コーティング
一般用 超微粒 冷間用
粗 粒
熱間用
粗粒・超粗粒
耐食
非磁性
H,D,G系 AF,F,A系 GH系 GH-R系 WF系 M系
H1
D2
G5
KH03
KH05
AF1
F1
A1
GH65
GH70
GH80
GH32R
GH48R
GH880R
GH211R
WF22
WF50
WF56
M23S
M63S
NS461
(Si3N4)
RZ601
(ZrO2)
DA90
DA150
スミクリスタル
CVD
PVD
熱間圧延用
ロール
NTブロックミルロール
スリーブ式ロール
異形棒鋼用ロール
パイプ用三方ロール
銅線用ロール
ピンチローラー・ガイドローラー
冷間圧延用
ロール
ゼンジミアロール
フォーミングロール
サイジングロール
ダンデムミルロール
高圧機械
部品
プランジャー
シリンダーライナー
バルブ
アンビルコア
機械装置
部品
ポンプ軸、軸受
光ファイバーカッター
ノズル
ボーリングバー
レースセンター
繊維切断ナイフ
電子機器
関連部品
グリーンシートカッター
グリーンシートパンチ
テープクリーナー
IC実装爪
ICボンディングツール
冷間加工用
工具
鍛造ダイ、パンチ
順送打抜き金型
缶用金型
曲げ、絞り金型
粉末成形金型
引抜き、押出しダイス
マンドレル、プラグ
細線用ダイス
温熱間
加工用
工具
鍛造ダイ、パンチ
熱間シャー刃
成形金型
剪断加工用
工具
鋼板用サイドトリマー
鋼板用シャーブレード
チョッパーナイフ
ギャングスリッター
リード線カッター
紙裁断用スリッター
磁気テープスリッター
スポーツ
レジャー
その他用
ゴルフ、野球、スパイク
エアレーションパイプ
鉛筆削刃
拡がる塑性加工工具用イゲタロイ材質                     ↑TOP

一般耐摩耗材種をルーツをする超合金「イゲタロイ」は、その後の研究開発の積み重ねにより数々の材種シリーズへと発展。さらに、コーティング、セラミックス、合成ダイヤモンドなどの新素材の登場と、それらの特性を最大限にいかした工具設計により、塑性加工用工具、耐摩部品の応用分野が一段と拡がっています。

一般耐摩用材種は、基本的なWC-Co組成からなる耐摩耗性に富んだ超硬合金で、冷間ロール、スリッター、機械部品等幅広い用途で活用されています。

拡がる塑性加工工具用イゲタロイ材質

イゲタロイ材種の代表特性                          ↑TOP

一般耐摩耗用H.D.Gシリーズ

材種名 比重 硬度 抗析力
(x10-2GPa)
HRA HV(x10-2GPa)
H1 15.1 92.9 1810 210
D1 15.0 92.4 1700 215
D2 14.9 90.9 1530 250
D3 14.6 89.8 1400 310
G5 14.3 89.0 1330 320
G6 14.1 87.8 1210 330
G7 13.6 84.5 950 320
G8 13.2 83.0 840 320

超微粒合金シリーズ

材種名 比重 硬度 抗析力
(x10-2GPa)
HRA HV(x10-2GPa)
F0 14.9 93.6 2050 205
F1 14.5 92.9 1840 240
A1 14.1 91.4 1590 330

超々微粒合金

材種名 比重 硬度 抗析力
(x10-2GPa)
HRA HV(x10-2GPa)
AF1 14.1 92.7 1710 500
AF0 14.3 93.0 1840 450
AFU 14.5 93.6 1970 400

耐食非磁性合金Mシリーズ

材種名 比重 硬度 抗析力
(x10-2GPa)
HRA HV(x10-2GPa)
M01U 14.3 93.5 1950 200
M23S 14.8 90.0 1450 250
M31F 13.3 89.5 1380 240
M61U 12.8 89.3 1300 250
M63S 14.3 88.4 1340 280

 

熱間圧延用超粗粒合金GH○○0Rシリーズ

材種名 比重 硬度 抗析力
(x10-2GPa)
HRA HV(x10-2GPa)
GH470R 14.0 83.0 910 220
GH880R 13.3 81.5 790 240

熱間圧延用均質合金GH○○1Rシリーズ

材種名 比重 硬度 抗析力
(x10-2GPa)
HRA HV(x10-2GPa)
GH211R 14.4 86.3 1130 210
GH321R 14.2 86.0 1030 270

 


温熱間鍛造用合金WFシリーズ

材種名 比重 硬度 抗析力
(x10-2GPa)
HRA HV(x10-2GPa)
WF22 14.0 85.5 1040 280
WF50 13.8 83.5 930 270
WF58 13.6 82.0 840 260
WF56 13.4 81.0 750 260

冷間耐衝撃GH○○シリーズ

材種名 比重 硬度 抗析力
(x10-2GPa)
HRA HV(x10-2GPa)
GH35 14.8 88.3 1280 270
GH40 14.6 87.7 1200 290
GH50R 14.5 87.0 1140 300
GH65 14.0 85.5 1040 280
GH72 13.8 85.0 1000 270
GH80 13.6 84.0 910 270
GH90 13.4 82.6 850 260

熱間圧延用粗粒合金GH○○Rシリーズ

材種名 比重 硬度 抗析力
(x10-2GPa)
HRA HV(x10-2GPa)
GH31R 14.3 86.3 1130 240
GH32R 14.2 86.0 1020 240
GH35R 14.3 85.2 1030 235
GH37R 14.2 85.5 1030 250
GH47R 14.0 84.3 960 270
GH48R 14.0 84.0 990 270
GH50R 14.0 83.5 930 255
GH57R 13.8 83.5 900 265
GH58R 13.8 83.8 900 265
GH60R 13.8 82.5 840 265
GH75R 13.6 81.5 800 240
GH77R 13.6 82.4 870 270
GH88R 13.3 82.5 840 240
GH96R 13.0 81.0 750 250
GH40N 14.1 83.7 900 220


BL合金BL○○○シリーズ

材種名 比重 硬度 抗析力
(x10-2GPa)
HRA HV(x10-2GPa)
BL105 14.8 95.0 2450 100
BL130 15.2 94.2 2150 280
BL220 15.3 92.8 1840 250
BL230 15.3 92.0 1640 200

軽量超硬合金

材種名 比重 硬度 抗析力
(x10-2GPa)
HRA HV(x10-2GPa)
K11B 10.2 81.5 960 300
K9B 10.7 91.0 1570 220

 

イゲタロイ材種の物理的、機械的特性                     ↑TOP

※下記特性値は実測データ-のため、代表特性値とは若干異なります。

sosei1
イゲタロイ材種の電気・磁気的、化学的、熱的特性               ↑TOP
sosei2
イゲタロイ材種別特性比較(1)                 ↑TOP

●室温および高温における結合相量と硬度との関係

●室温および高温におけるピッカース硬度抗析力とのとの関係

同一粒度では結合相量の増加と共に、また同一結合相量では粒度が大きくなるほど硬度が低下する。高温(48℃)における硬度は、常温に対し約20%低下する。また、WC-Ni-Cr合金とWC-Co合金では、低下の割合はほぼ等しい。 室温および高温における結合相量と硬度との関係
室温では、粒度を微細化することにより抗析力の向上が図られている。高温(48℃)では、WC粒度<2μmの材質についてみるとWC-Ni-低Cr合金(M23S、M63S)、WC-Co合金(D2、G5)ともに約10%抗析力が低下する。 室温および高温におけるピッカース硬度抗析力とのとの関係
抗析力の測定方法は右図のように、矩形断面の資料を指示台に乗せ、中央に静荷重をかけて破壊させることにより、次式で抗析力を算出する。 室温および高温におけるピッカース硬度抗析力とのとの関係

●結合相量とヤング率との関係

 結合相量の比率が高く、かつCr量の多い材質では、WC-Coに比べヤング率が若干低くなっている。また、結合相量が10%以下で、かつCr量の少ない材質では、WC-Co合金とほぼ同等である。 結合相量とヤング率との関係

●ピッカース硬度と破壊靭性K1c値との関係

K1c(ケーワンシー)は、破壊靭性を示す値で、キレツの伝播(進展)抵抗の程度を知るうえで重要な特性である。一般に硬度が高くなるとK1cは低下する。破壊靭性に関する評価法として、ピッカース圧痕法とスリット法とがある。 ピッカース硬度と破壊靭性K1c値との関係
ピッカース硬度と破壊靭性K1c値との関係
イゲタロイ材種別特性比較(2)                 ↑TOP
 WC-Ni-Cr合金は、同一粒度、同一結合相量の場合、WC-Co合金より圧縮強度がやや低めになっている。しかし、粒度による影響の方が大きく、微粒化により圧縮強度の向上を図ることが出来る。 結合相量と圧縮強度との関係

右図に圧縮試験用治具を示す。試験の上下端にAL箔を入れ平行度の補正を行っている。

結合相量と圧縮強度との関係

●圧縮強度試験における応力一歪曲線

図は、歪と圧縮応力との関係を示すもので、破壊に至る過程は、WC-Ni-Cr合金とWC-Co合金とは同様の関係を示している。 圧縮強度試験における応力一歪曲線

抗析力の測定方法は右図のように、矩形断面の資料を指示台に乗せ、中央に静荷重をかけて破壊させることにより、次式で抗析力を算出する。

●硬度と耐摩耗性との関係

耐摩耗性は硬度と強い相関関係があり、硬度が高い程、耐摩耗性は向上する。なお、HIP処理による耐摩耗性への影響は殆どみられない。 硬度と耐摩耗性との関係

本耐摩耗性試験方法を右図に示す。鋼の回転板に試験片を当て、アルミナ砥粒をこすりつける方法によって1回あたりの重量減により、超硬合金の耐摩耗性を表す。

本耐摩耗性試験方法を右図に示す。鋼の回転板に試験片を当て、アルミナ砥粒をこすりつける方法によって1回あたりの重量減により、超硬合金の耐摩耗性を表す。 硬度と耐摩耗性との関係

●磁気特性(WC-Co合金とWC-Ni-Cr合金のヒステリシス曲線)

WC-Co合金では、Co量の増加とともに飽和磁気量が増加する。また、抗磁力はCo相の厚みが薄くなる(WC粒度が微細になる)につれ増加する。このため、AF1(粒度0.5μm)はD2(粒度1.7μm)に比べ大きな抗磁力値を示す。一方、WC-Ni-Cr合金(M01U,M23S,M63S、M71Cなど)の磁気特性はごく微小であり、室温でも飽和磁気量は、ほぼ0である。これは結合相のCoに比しNiの磁気量が小さい事と、結合相中にWが固溶している為、金属としての磁気特性を示さないことによる。 磁気特性(WC-Co合金とWC-Ni-Cr合金のヒステリシス曲線)
イゲタロイ材種別特性比較(3)                 ↑TOP

●加熱温度と酸化増量との関係

図は、試料を大気炉中で30分間所定温度に加熱保持した後、放冷し酸化増量を測定したもので、超微粒WC(0.7μm)を使用した材質(M01U、M12U、M61U)の酸化増量が極めて少なく、とくにCr含有量の多いM61Uでは、1000℃においてもほとんど増量していない。 加熱温度と酸化増量との関係

●結合相量と腐食減量との関係(10%NHO3(25℃24Hr)の例)

 結合相量の増加に伴い、腐食減量が増加する。また、腐食減量は組成の影響を強く受ける。結合相をCoからNiに置換し、さらにCrを添加したWC-Ni-Cr合金は、WC-Co合金に比べて非常に優れた耐腐食性を示している。 結合相量と腐食減量との関係(10%NHO3(25℃24Hr)の例)

●熱伝導率への結合相量の影響

熱伝導率は、結合相量にはわずかしか依存しない。またWC-Ni-Cr合金は、WC-Co合金よりも熱伝導率が低くなっているが、この理由は熱を伝えると思われる結合相にWが多く固溶し、原子振動の伝達を妨げているからと推測される。 熱伝導率への結合相量の影響

●熱伝導率へのWC粒度の影響

 熱伝導率は、WC粒度に依存し、粒度が大きくなる程、熱伝導率は高くなる。これは、熱を伝える結合相の平均自由行程と、WCと結合相の粒界の面積差によるものと思われる。 熱伝導率へのWC粒度の影響
 熱伝導率の測定に用いたレーザーフラッシュ法の原理図を右図に示す。 熱伝導率へのWC粒度の影響
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