【No.0706-37】金型材とその加工法に関するお話1

今回から、金型材料とその加工法についてお話します。
金型は、主に大量生産の手段として、その形状に合わせて、材料を成形し製品を作るために使用されます。

 

この場合、プラスチックのように可塑性の物質を流し込んで、成形するものと、プレス加工のように金属材料を強制的に強い力を加えて金型形状を転写しに成形するものがあります。

 

従って、金型用材料に要求される性質としてはには、例えばプレス加工の場合、以下の特性が要求されます。

 

1. 耐摩耗性:①被加工物が硬い材料ほど、②生産数量が大きいほど、③成形品の要求精度が高いほど ④成形品の形状の複雑なほど、⑤成形品の厚みが大きく、加工力が大きいほど耐摩耗性が大きい高級な金型が要求されます。
2. 焼き入れ性が良く必要な硬度が得られること、熱処理による変形や寸法変化が少ないこと
3. 加工中の焼き付きが少ないこと
4. 金型製作において被削性(切削、研削性)が良いこと
5. 高温強度が高いこと

 

ここでは、金型用材料を概観し次回以降それぞれの材料の特性と加工法についてお話しします。

 

 

(1)炭素鋼(炭素工具鋼SK材)

被加工物が比較的軟質のプレス加工で、生産量が少ない場合に使用されます。安価で入手しやすいが、焼き入れ性が低く、また焼き入れ時の寸法変化が大きいために、複雑形状の成形には適しません。

(2)合金鋼(SKS,SKD)

炭素鋼の欠点である焼き入れ性を改善し、耐摩耗性の向上と強靱性を改善する目的で、種々の合金元素を添加したものです。添加する合金元素の種類と割合を変化させて、目的にあった種々の合金鋼が生産されています。

(3)高速度鋼(ハイス,SKH)

主に冷間鍛造用に用いられる材料です。工具鋼としては最も硬い材料で、耐摩耗性と靭性に優 れ、強加工に向いていますが、難削材です。

(4)粉末成形高速度鋼(粉末ハイス)

高速度鋼の加工性の悪さを改善するために、粉末にして焼成したものです。微粉ほど強度が上 がります。

(5)超硬合金(WC)
炭化タングステン(WC)の粉末をコバルト(Co)バインダーにして焼結したもので、非常 に硬く、耐摩耗性は良好ですが、成形加工が難しく、価格も最も高くなります。

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