【No.0503-10】難削材とは -高抗張力材料-

この分類に含まれる材料としては、プリハードン鋼(NAK55,NAK80)、冷間金型合金工具鋼(SKS3,31,93,94,95、SKD1,2,10,11)、熱間金型合金工具鋼(SKD4,5,6,61,62,7,8,SKT3,4,6)、その他の高張力鋼があげられます。熱処理によりHrc35~65に硬化されたものです。

この種の材料は、研削加工そのものは難しくありませんが、金型用として、複雑な形状を成形研削する場合が多く、従って形状崩れのないようにやや硬めの砥石が選定されます。 この場合、研削熱の発生に気をつける必要があります。研削温度が高くなると、研削焼けや研削割れが発生し易くなります。研削焼けは材料表面の金属組織が酸化されて生ずるものですが、研削焼けが発生した場合、表面より内層において、被削材の硬度の劣化が生じ、金型としての品質を損ないます。

焼き入れ鋼及び高速度鋼の場合、研削割れが発生し易くなります。焼き入れ焼き戻し組織の中に残留オーステナイトが存在すると、研削熱によりマルテンサイト組織に変態し、体積の収縮がおきて、研削割れが発生します。

したがって、高抗張力材料の研削の場合には、研削熱の発生を出来るだけ抑制する必要があります。そのための方策として、
①切れ味が良く、「目詰まり」、「目つぶれ」し難くなおかつ、形状保持性の良い砥石の選定。
例えば:『STRAX(CBN)ホイール』 『UKシリーズ研削砥石』
②潤滑性の良い研削液の選定。
例えば:『プレシジョンクールUTN-15S』
③切り込み量を小さくする
④砥石周速を低くする
などの、対策が効果的です。

★ご意見、ご感想はこちらにお願い致します。info@ueda-tech.com