【No.0410-5】難削材とは-熱伝導率が小さい-

前回は、難削材全般について概観しましたが、今回から個々の難削の性質をもつ材料について、その加工法を概観してみたいと思います。言うまでもなく、材料そのものは、いくつかの難削特性を合わせ持っております。
熱伝導率の小さい材料としては、オーステナイト系ステンレス鋼、耐熱合金、チタン、チタン合金などがあります。下表にこれらのおおよその熱伝導率の値を示しますが、炭素鋼に比較して1/7~1/3の値であることが分かります。

表1. 各種材料の熱伝導率(W/m℃)
 ステンレス鋼 耐熱鋼 チタン 炭素鋼
マルテンサイト系 フェライト系 オーステナイト系 インコネル718 純チタン チタン合金(6Al4V) S45C
25 26 16 14.6 15 7.1 50

一般に熱伝導率の小さい材料では、研削熱が加工点から逃げにくいので、ワークの局部的な温度上昇があり、研削焼けやひずみが発生しやすい。特に薄物の加工では、反りの発生につながります。例えば、SUS304とS45Cの研削点の温度上昇の比較し、S45Cでは250℃程度ですが、SUS304で1000℃近くに達するという報告もあります。
熱伝導率の小さい材料を研削する場合の対策として
①熱を発生しないよう研削抵抗の小さい加工条件、及び砥石またはホイールを選定する。右図は耐熱鋼とSUS304のCBNホイールとWA砥石の研削比の1例ですが、耐熱鋼では、CBNホイールで研削比が大きくなっていますが、SUS304ではCBNホイールとWA砥石の間でそれほど差がありません。
②速やかに研削点から熱を取り去る。そのためには冷却性の良い研削液を使用する。
例えば、-10℃まで冷却した研削液により、砥石寿命が2倍に延びた例が報告されています。

耐熱鋼とSUS304の砥石種類による研削比の比較

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