①研削砥石の3要素(砥石の定義) | |||
1:砥 粒 (グレーン) |
- | 加工物(ワーク)を削る刃物に相当する。大別するとアルミナ系(A)と炭化珪素系(C)の2系統に分類される。 | |
2:結合剤 (ボ ン ド) |
- | 砥粒と砥粒を結合させる接着剤の様なもので、砥石形状を維持し、研削抵抗に対し砥粒を保持する。 | |
3:気 孔 (ポ ア ー) |
- | 砥粒と結合剤の間にある空間で、砥粒が削り取った切り屑を一時ためておくチップポケットの役や、研削液を溜めたり、空気の通り道となって発生した熱を冷却する役割もする。 | |
②研削砥石の5要因(砥石の表示) |
~一般焼成砥石~ WA - 46 - J - 6 - V 1:砥粒 2:粒度 3:結合度 4:組織 5:結合剤 1:砥 粒
種 類 | 記号 | 化学成分 | 用 途 |
褐色アルミナ質系研削材 | A | Al2O3 92%以上 | じん性が強く鋼材一般に使用。 |
白色アルミナ質系研削材 | WA | Al2O3 99%以上 | A砥粒より硬いがじん性に劣る劈開性が高いため、高速度鋼や特殊鋼などの仕上げや軽研削。 |
淡紅色アルミナ質系研削材 | PA | Al2O3 98%以上 | 合金鋼、工具鋼、焼入鋼材の精密研削、軽研削。 |
解砕型アルミナ質系研削材 | HA | Al2O3 98.5%以上 | 合金鋼、工具鋼、焼入鋼材の精密研削。 |
黒色炭化ケイ素質系研削材 | C | SiC 95%以上 | GC砥粒より硬度は劣るが、アルミナ質より硬い。 じん性が低いので、鋳鉄、非金属、非鉄金属に適す。 |
緑色炭化ケイ素質系研削材 | GC | SiC 98%以上 | 劈開性高く、超硬工具や発熱しては困るような加工物の精密研削に適す。 |
2:粒 度
(グレーンサイズ)-砥粒の大きさを表す単位で、数値が小さいほど砥粒径は大きくなる。
粒度は#(メッシュ)記号をつけて○○番と呼ぶ。#サイズは、砥粒の大きさを分ける際、フルイを使用し、1インチ(25.4mm)中にあるフルイの目の数によって表されている。1インチ中に目の数が36あるフルイをちょうど通る砥粒なら、#36番の砥粒ということになる。
粗 粒 | #8,10,12,14,16,20,24,30,36,46,54,60,70,80,90,100,120,150,180,220 |
微 粉 | #240,280,320,360,400,500,600,700,800,1000,1200,1500,2000,2500,3000 |
3:結合度 (グレード) |
- 結合剤が砥粒を保持する強さ。結合度はアルファベットで26種類に分け、軟(AB C…)⇒(…X Y Z)硬を表す。 同じ結合剤によって作られている砥石では、同一容積の中にある結合剤の量が多ければ多いほど砥粒と砥粒を結びつける結合度は大きくなり、硬くなる。 |
4:組 織 (ストラクチャ) |
- 砥石の中に占める砥粒の容積割合を示す。一定の容積の中に砥粒が占める割合が多ければその組織は密であるといい、少なければ粗であるという。 |
5:結合剤
結合剤種類 | 記号 | 特 徴 |
ビトリファイド (磁器質) |
V | 長石や粘土性の無機物を1300℃ぐらいの高温で焼き固めて砥粒を結合させる。気孔が多く、水、アルカリ、酸、油などにより変化はしない。精密研削をはじめ一般研削に最も使用される。 |
シリケート (ケイ酸ソーダ質) |
S | ケイ酸ソーダ(水ガラス)を主成分にして、600~1000℃で焼き固められたもの。ビトリファイドより結合力は弱いが、研削中にケイ酸ソーダがにじみ出て、潤滑作用をするため、研削熱の発生が小さく工具の刃付け作業や、接触面積の多い平面研削に適している。 |
シェラック (天然樹脂) |
E | 天然樹脂のシェラックを原料に170℃ぐらいで焼成したもの。結合力は最も弱く重研削には適さない。仕上げ面精度の高い作業に適する。 |
レジノイド (人工樹脂質) |
B | ベークライト(石炭酸フォルマリン系)を200℃ぐらいで熟成して作る。ビトリファイドに比べ弾性があり、抗張力が強く高速回転に使える。切断砥石、ロール研削用砥石、鋳バリ取用などに使用される。 |
ラバー (ゴム質) |
R | 天然や合成ゴムを主体にして、砥粒を煉りこみ、180℃ぐらいで熟成したもの。最も弾性が強く薄物砥石に適している。熱や油に弱く、研削液に注意が必要。 |
2008年5月定例「勉強会」より